夢のような空間を舞台に、記憶を失った5人の乗組員とともに断片的な思い出を集めるアドベンチャーゲーム。相互理解の難しさと複雑な人間関係を静かに描く一人称視点の体験作だ。
要点まとめ
無数の部屋が迷路のようにつながる宇宙船が舞台。プレイヤーは主人公リアムとなり、エララ、ゾーイ、カトリーナ、ウォルターら記憶を失った乗組員たちとの会話や探索を通じて、落ちているアイテムと記憶の断片を組み合わせながら失われた過去を読み解いていく。移動やアイテム取得時に消費される「意識」をやりくりしながら、1日に3つの記憶の断片を読むことで次の領域へ進むという仕組みだ。アコースティックギターとピアノを基調とした落ち着きのあるBGMが、全体の夢想的な雰囲気を支える。序盤は断片的な情報から状況を把握するまでに時間を要するが、中盤以降は各キャラクターの背景や複雑な関係性が明かされるにつれ、物語が加速していく。SFの枠組みを使いながら、本質的に描かれているのは人と人が完全に理解し合うことの困難さと、その中での相互理解のあり方というテーマである。
考察
本作の秀逸な点は、ゲームシステムがストーリー体験を阻害しないようデザインされている点にある。リソース管理も厳しすぎず、プレイヤーが大きな負担を感じることなく自然とナラティブに没入できるバランスが実現されている。また、アイテムが記憶を思い出すためのキーワードとして機能する設計により、プレイヤーの連想や直感が尊重される。シビアなゲームプレイより、上質で穏やかな没入感を求めるプレイヤーにとって、本作は理想的なゲーム体験となるだろう。宇宙という舞台設定が提示する大規模な物語の枠組みの中でも、最終的に問われるのは身近な人間関係という現代性が、作品の深さを際立たせている。
出典
元記事: 4Gamer.net


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